消化器領域で症例を積みたい先生へ

造影剤を注射することにより血流の分布を観察することもできます

実際の検査の様子

放射線を使った検査(胸部X線など)と違って被爆リスクのない超音波検査は、小型の機械で手軽に行えます。そのため教科書的には、数ある画像診断の中でも最初に行うべき検査項目に位置づけられています。

近年は、空気に反射されて画像が白く映る超音波の特性を利用して、微細な空気の粒子で構成された特殊な造影剤を注射することにより、超音波検査で血流の分布を調べることもできるようになりました。甲状腺や乳腺の腫瘍では、顕微鏡検査で診断を確定させるために、超音波で観察しながら針を刺して組織を採取する「針生検」にも利用されています。

超音波検査装置には、患者さんの体に当てて超音波を発信したり、受信したりする複数の「プローブ」が接続されており、首や乳腺の観察には先端が平坦なもの、腹部には扇形、婦人科は棒状といったように、用途によって複数のプローブを使い分けます。

プローブの使用時には患者さんの体に密着させる必要がありますが、その間に空気が介在すると超音波が体内を通らず、その部分の画像が見えなくなってしまいます。そのため、検査の際にはプローブと体を密着させるためのゼリー剤が使用されます。ゼリー剤を患者さんに直接塗ると冷たいので、保湿器で温められている病院もあります。

超音波検査室では、患者さんは検査部位が十分に観察できるように着衣を脱いで、診察台に横になります。担当の医師や検査技師は、ゼリー剤を患者さんの体に塗ってから超音波検査装置のプローブを当て、その角度や部位を変化させながら対象となる部位を観察していきます。

腹部の検査では、骨や胃腸に残っている空気によるノイズを避けるために、プローブを動かす代わりに患者さんに呼吸をしてもらい、内蔵の位置を見やすい位置に動かして観察する、という技術も求められます。

 
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