消化器領域で症例を積みたい先生へ

医療技術の向上により、血管や臓器の三次元画像を合成することも可能

フィリップスのMRI機器

患者さんが横になるベッドとドーナツ状の巨大な撮影装置が設置されているという点で、CT(コンピューター断層撮影法)室、MRI(磁気共鳴画像法)室は非常に似ています。

しかし、撮影の際にX線を使用するCTは放射線管理区域に設置されるのに対し、MRIはX線ではなく電磁石を使用して撮影を行うので、放射線管理区域ではなく、事故の原因になる金属類(患者さんのピアスやネックレス、腕時計など)が持ち込まれないように管理されたエリアに設置されるという違いがあります。

また、心臓のペースメーカーの誤作動を引き起こしかねないので、心臓ペースメーカーを埋め込んでいる患者さんはMRI検査を受けることはできません。そのほか、脳血管障害等の手術で金属製のクリップが体内にある患者さんも、検査を受けることができない場合もあります。医師や検査技師の話をよく聞いて、該当する項目がないかどうか十分に確認する必要があります。

一般的に、CTは体内の構造を詳細に描出することを得意としており、MRIは対象物の性状(水分量や粘調度)を推測する際に有用です。臓器や病変によって差はあるものの、CTとMRIを野球に例えて、「CTは3番バッター(診断のために有用な一定レベル以上の情報を、高確率で提供してくれる)、MRIは4番バッター(外れもあるが、非常に重要な情報を与えてくれることがある)」と説明する放射線科の医師もいます。疾患によってはCTとMRIの両方が必要になることもあります。

検査室では、患者さんは撮影装置のベッドに横になり、そのままスライドしてドーナツ状の撮影装置の中に送り込まれます。撮影部位の位置合わせを行った後、ふたたびベッドが動いて体が撮影装置の中を通過しますが、その間にX線(CT)あるいは磁気(MRI)を用いた撮影が行われます。

基本的には体の横断面の撮影データが得られますが、最近の機器は撮影時間の短縮化が図られ、縦方向の解像度が向上しているので、横断面の画像データを垂直方向に集積することで、必要に応じて任意の角度からの断面像を作成したり、血管や臓器の立体像を三次元(3D)に合成することも可能です。CTのデータを元に、胃カメラや大腸カメラで検査をしているかのような画像を合成する技術の開発も進んでいます。

検査室の窓越しにはコントロール室が併設されており、医師や検査技師が撮影部位やスライスの幅、造影剤の点滴から撮影のタイミングなどの細かな条件を端末に入力したり、撮影した画像の明るさや濃度を調整したりしています。また、喘息発作や血圧低下などの造影剤に対するアレルギー反応に対応するため、救急処置用の薬剤や医療機器も用意されています。

 
Copyright (C) 2015 内視鏡検査ガイド All Rights Reserved.